「おじさんは口出すな」女性がリピートするコンドームとは?ジェクスインタビュー

「コンドームは二人のもの。女性にとって大切なもの」10年前に女性視点のコンドームが誕生しました。

みなさんセックスは好きですか?

そんなの聞くんじゃねえよ、好きに決まってんだろ。

はい、そうですよね。

さて、今回はセックスとは切っても切り離せない大事な相棒、コンドームについてのお話です。最近では日本でも女性が選ぶようなコンドームが発売されていますが、昔は「コンドームは男性のもの」と考えられていました。

そんな時代に「コンドームは二人のもの。女性にとって大切なもの」と女性視点のコンドームを表舞台に登場させたのが老舗コンドームメーカージェクスです。

彼らが発売したのは「グラマラスバタフライ」というコンドーム。ドラッグストアで蝶柄のパッケージを見たことありませんか?薄さや刺激を押し出すコンドームに並んで、何も書かれていない蝶のパッケージは目にとまります。

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「正直、こんなの売れるんだろうか……と誰もが不安だった」

そう語るのはジェクス株式会社の井上さん。

性行為において常に受け入れる側の女性がコンドームを選ぶ。自分の体に良いものを選ぶ。当然のことですが、まだまだ日本では「コンドームなんて恥ずかしい……!」と目を逸らしている人も多いのでは?今回は井上さんにジェクスの性に関する意識調査やコンドームについてのお話を伺いました。

増える女性のマスターベーションと性交痛の悩み

ジェクスでは2012年から、2013年、2017年と男女の性事情に関する5000人調査を実施しています。調査内容は、「セックス頻度」や「避妊方法」から「不倫経験」「マスターベーションのオカズ」「前戯の部位」まで非常に幅広い内容になっています。

「世の中に出ている情報は発信者によって違います。どうしても発信者が使いやすい情報になっています。『これをしたら妊娠しない』とかセックスに関する都市伝説もそう。でも結局それは男性に都合がいいだけだったりする。だから一切合切、本音を調べてみたいと思い性の市場調査をはじめました」

実際に統計データを見ると赤裸々な回答者の本音があわられています。

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【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2017

 

2017年の調査ではマスターベーションを全くしたことがないと回答した女性は約3割。7割の女性が経験しているという結果に。「女性のオーガズムやオナニーも存在しているとは言われていたけど実際はどうなのか?本音で回答してくれるか不安だった」という井上さん。でも、いざ調査をはじめると非常に多くの回答が集まったそう。

これまでの調査を通じて変化はあったのでしょうか?

「女性のマスターベーション率が上がってます。ジェクスは2004年からマスターベーション専用のローションを発売していますが、当時からマスターベーションは男性のものだけじゃないから女性用の商品も出しなさいと言われていました。

自分は男なので理解できていませんでしたが、データを見ると実際に増加している。スマホの普及で動画コンテンツも増え、ベッドの中で手軽にマスターベーションできるようになったのも大きいと感じます」

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【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2017

そして、もう一点井上さんが注目しているのがセックスに伴う痛み「性交痛」だといいます。

「35年前に、女性は閉経時にホルモンバランスが崩れて膣が濡れにくくなり痛いから潤滑ゼリーが欲しいと依頼を受け、日本で初めて潤滑ゼリー『リューブゼリー』を発売しました。当時は45歳以上の女性をターゲットにしていましたが、実際に販売してみると若い人の需要が非常に多かった

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日本家族計画協会医学委員会とジェクスが日本で初めて開発した水溶性の潤滑ゼリー「リューブゼリー」。全国の病院や診療所、薬局などで販売されています

アンケートを見ても性交痛を感じる年代は若くなってきています。

「今ではセックス時に痛みを感じることがあると回答していているのは30代が最も多く、潤滑ゼリーを使っているのは20代が一番多いという結果です。潤滑ゼリーはシルバー向け商品ではなく、あらゆる女性に向けた商品だと実感しました」

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【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2017

私の周りでも性交痛が辛いという話をよく聞きます。それでもなかなか潤滑ゼリーにまでたどり着けず痛みを我慢していたり、男性のマスターベーションやプレイに使用するローションと混同している人もいます……。

「そこを理解いただく取り組みをしなければと思っています。局部の痛みを和らげるために、ぬるぬるさえしていたらなんでもいいとローションを使用している人も多い。アダルトビデオでも、実際には潤滑ゼリーを使用しているのに、女優さんがローションと発言していたりする。潤滑ゼリーとローションは用途も成分も異なるので、私たちからすれば、そこはちゃんと使いわけてほしい

「海外では以前から様々な潤滑ゼリーが発売されています。日本は性に対して閉鎖的なため、コンドームは優秀ですが、それ以外の商品になると後進国。子作りのための性に関しては認められていましたが、それ以外のプレジャーや女性の性的興奮は隠されてきましたからね」

女性が選んだコンドームは想定外だった

ジェクスは、10年前に潤滑ゼリーを塗布した女性向けコンドーム「グラマラスバタフライ」を発売しました。

「10年前にエイズが問題となっていました。性行為が若年化しクラミジア感染症も増え、教育委員会としても対策が必要になり、コンドームを使いましょうと性教育が始まったんです。でもいざコンドームを買いに行っても、どれを買えばいかわからない。そこで女子高生たちに選んでもらえるような商品を作ろうとなりました。

でも当時、ジェクスでは若者向けコンドームを企画しても、私たちおじさんがデザインを選んでいたんです。それを見た社長が『これは女子高生向けの商品だから、おじさんは一切口を出すな!』と言い放ち、女性だけのプロジェクトチームが立ち上がりました

「彼女たちがパッケージデザインを30パターンほど作り、女子高生に街頭で投票してもらいました。女子高生が選ぶデザインは即決でした。でも私たち男性から見ると、選ばれたパッケージにはコンドームの特徴も何も書いていないし不安でしたね。最後の最後まで、このデザインで本当にいいのか誰もわかりませんでした。でも信じて発売したら異例の大ヒット。

今思えば、店頭でコンドームを決める10秒に訴えかけるならジャケット映えするものがいいんですよね。それまでの商品パッケージは、メーカーが伝えたい想いを延々と書いていた。でもそこに何が書いてあるかなんて一瞬じゃわからない。だったら女性の目を惹く女性向けの商品だとわかるデザインがいい

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大ヒットとなったグラマラスバタフライ。実際に購入しているのは男女半々。ただ、性交痛を考慮し、女性の負担が減るように加工していることもあり、女性のリピーターが多いといいます。

「セックスって、男性は逃げれますが女性は自分の体にリスクが残ってしまいます。ゴムの素材にも違いがあります。

今コンドーム市場は薄さを追求したポリウレタン素材がスタンダードになってきています。その中でラテックス製のコンドームで唯一伸びているのがグラマラスバタフライです。素材の一番大きな違いは伸びです。ウレタンはラテックスに比べると薄いですが、フィット性がないため固い。

そして素材に加工ができるかどうかです。日本の男性は薄ければいいと選びますが、ウレタン製はシリコーンオイルしか塗布されたものがありません。でもラテックス製のものであれば潤滑ゼリーなどを塗布できます」

しかし、ゴムの素材や違いまで考慮して購入している人はまだ少ない。ジェクスは、教育機関へ性教育商材のサンプルとしてグラマラスバタフライを提供していますが、その際には商品の違いも説明するようにしているといいます。

「同様に潤滑ゼリーの必要性も伝えていく必要があると思っています。性交痛の悩みは病院に行きにくかったり、どこで相談すればいいかわからない。結果的に自分が変なのかなと閉じこもってしまう。病院にさえ行ければ、そこで適切な商品も紹介してもらえるんですけどね。

でも病院に行くハードルが高いので、結局インターネットで検索して自己判断してしまう。そうならないように、医療関係者との情報も含めて消費者に伝わるように発信することもメーカーの役割だと思っています

次回は、ジェクスが考える性教育についてです。

 

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