今はアダルト業界の過渡期「ネット風俗嬢」著者が「性」を仕事にするワケ(前編)

処女でも年収1000万円。刺激的な著書「ネット風俗嬢」の作者・中山美里さんに「なぜ性を追いかけるのか?」お話を伺ってきました。

「ネット風俗嬢」は処女でも年収1000万!?

みなさん、「ネット風俗嬢」って聞いた事ありますか?

課金制のインターネットライブ配信を活用したアダルトチャットで働く女性(チャットレディ)のことだそうです。

そんなチャットレディやチャットルーム運営会社への取材を通じて、アダルトチャットの歴史から、稼げる人の特徴、チャットルームを運営する側の裏側を紐解いている中山美里さんの著書「ネット風俗嬢」。

「処女でも年収1000万円」と刺激的な宣伝文が記載された本著ですが、性風俗ライターとしてのキャリアをもつ著者もきっと刺激的な方に違いない!

ということで今回ランドリーガールでは「ネット風俗嬢」の著者であり、大人の女性ラブメディア「JESSIE」(http://jessie.jp/)の編集長を務める中山美里さんのもとへお話を伺ってきました。
テーマはずばり「なぜ”性”を追いかけるのか?」。

中山さんの経歴や業界で出会った様々な人のお話をもとに、アダルト業界の変化や、淑女の皆様も活用できる?かもしれない技を教えていただきました。ではでは、中山さんの頭の中を覗いてみましょう。

『ネット風俗嬢』(中山美里/泰文堂)

「真裸で川に入ってスコップで温泉掘ってましたね。なんでやってたんでしょうね。」

――― 中山さんの性風俗ライターとしてのご経歴を教えてください。

風俗だとかに関心を持ち始めたのは、高校生の時にデート倶楽部など夜遊びを始めたのがきっかけですね。高校卒業して、大学を目指していたのですが浪して諦めて、『土方巽記念アスベスト館』という舞踏集団へ入ったんです。

そこで研究生をしながら、その劇団が運営する六本木のショークラブでショーダンサーを2年ほどしてました。天職だと思っていましたね。その後、出産でお休 みした後、ダンサー仲間とフリーでショーダンサーチームを作って27,8歳頃までショーダンサーとして生活をしていましたね。

―――ライターとしてのお仕事はいつからはじめたのですか?

ライターは、24歳の時からですね。赤ちゃん雑誌で子供の写真を投稿するとグッズがもらえる企画があって、それに応募していたのがきっかけで、その雑誌のライターとしてアルバイトをはじめました。

―――赤ちゃん雑誌からどうやって風俗ライターになったんですか?

赤ちゃん雑誌で、真面目な女性誌的なネタを1年ほど書いていたのですが、そのなかで夫婦のセックス事情に関する記事も書いていて、それが面白くなっちゃっ て。もっと性的な話を聞きたくなって、メンズ雑誌でエロいことをやろうと思ったんです。ちょうどその時期に「週刊特報」という雑誌が立ち上げ時期だったの で「風俗店へ潜入取材したいです!なんでもします!」みたいな感じで応募したら編集部に入ることができて。

―――当時は今と違って女性の風俗ライターって珍しかったんじゃないですか?
考えてみればいないですよね(笑)もともとAV業界で働いていた人がライターとして活躍するということはあったのですが、全くの素人が風俗ライターをやってみるというのはいなかったみたいですね。

―――そもそもアダルト業界に入ることをまわりの人にとめられたりしなかったですか?

特になんにも言わず勝手にはじめたので。彼氏には言ったんですが、「そっか」とだけ言われましたね。でもきっと無言ということは応援してくれているんだと勝手に解釈してましたね。

あとは、風俗ライターをしていることを隠している人の方が多いですが、私は風俗ライターとして働くことは全然気にしていなくて。「顔出しもOKです。」っ て言ってたんですけど、「さすがに本名は隠したほうがいいから」と逆に周りの人にとめられて「高野忍(通称:あねご記者)」という名前で活動をしていまし た。

―――風俗ライターになられて、潜入取材等をしていたとのことですが、実際にどんなことをしていたのですか?

いやあ、ハードでしたね。SMショークラブにいって縛られたり踏まれたり、吊られたり、女王さま体験したり。でも縄師の技に感動したりして。あとは、そうですね、、、真裸で川に入ってスコップで温泉掘ってましたね。

―――真裸でスコップ。意味不明ですね。今じゃ考えられないですよね。

そうですね、意味不明ですね。なんでやってたんでしょうね。今は法律的にもできないんじゃないですかね。完全にダメなやつですね(笑)

―――今でもDMMニュースで公開している中山さんの記事かなり攻めてますよね。膣で色々わったりとか、SMとか。。。あれは止められたりしないんですかね?

色々と編集部で決まりはあるみたいですが、特に止められないですね。ただ以前にだした企画でNGになったのは、かなりリアルな男性器の形をした飴をひたすら舐めながら山手線を一周する。という企画でしたね。おそらく、わいせつ物陳列罪にあたるのかな?

―――そのお話だけでも相当やばいのですが、これまでの取材で一番ハードだったものってなんですか?

「スカトロ」と「ハードSM」ですかね。スカトロは、もう臭いで退散という感じで・・。ハードSMは途中で気絶してしまいました。私は意外とヘタレなんだなと。自分の器の小ささと限界を学んだ現場でした。

―――ハードSMって実際にどんなことをしたんですか?
針で血を流したり、×××を××たり(※テキストでも厳しいので自主規制させていただきます)ですね。今だとありえないですよね。

―――・・・・。話を変えて、おもしろかったものはどんなものです?

色々あって難しいのですが、やはり歴史的なものを背負ってきている人のお話を聞くのはおもしろいですよね。今企画を進めているので詳しくは言えないのです が、GIベビー(※)の方のお話などもそうですね。取材を通して、今まで知らなかった世界をより深く知ることができるので、すごく考えさせられますし勉強 になりますよね。

※GIベビー:連合国軍占領下の日本に、アメリカ軍を中心とした連合国軍の兵士と日本人女性との間に生まれた乳幼児や子供のこと

―――なるほど。中山さんはすでに性風俗ライターとして十数年活躍されています。そんなに長く続けている理由、面白さはどこにあるんですか?

未知なモノに興味があるんですよね。なので、体験取材とかは面白かったです。でも今は取材自体も規制が厳しくなってしまって体験取材はほとんどなくなって しまってるみたいですが。あとはAV女優や風俗嬢へのインタビューも面白いですね。AV女優さんは事務所に所属しているので、なかなか聞きだすのが難しい こともありますが、風俗嬢の子とかは基本なんでもありなので色々と話してくれましたね。

―――とはいえ、仕事に飽きてしまったことってないんですか?

ありますよ。体験取材ができなくなって
きたというのもありますが、やはり雑誌としては読者が期待している企画を作っていくことになるので、どうしてもお決まりの企画が増えルーティンワークになってしまったときかな。

喫茶店で盛り上がってしまった二人

「当時はDMMのラッピングカーが公道を走るなんて考えられなかったです。すごいことですよ。」

―――十数年前と比べてアダルト業界は変わりましたか?

さっきもいいましたが規制はだいぶ厳しくなりましたね。あと私自身、もともとセックスを悪いものだとは思っていないんですが、昔はAV女優はじめ、それに 関わる人たちは差別というか、下に見られていました。だけど、今はだんだんとそういった差別がなくなってきていて、一般的な扱いになってきたなと。

で、よくアダルト業界の方が「アダルト業界は稼げなくなってきた。もうこの業界はダメだ」と言ったりするんですが、それはアダルトが一般化したから稼げなくなっただけで、その業界自体が縮小しているわけではないと思うんですよね。

業界の人は、稼げなくなっていることを嘆いている人が多いと思うんですけど、私は真逆で。業界が一般化したから誰でも業界に入りやすくなり、結果、全体数が増えて風俗等の単価が下がっているだけですよね。業界自体が盛り下がっているわけではないです。

だって当時はDMMのラッピングカーが公道を走るなんて考えられなかったですよ。すごいことですよ。

つまり、昔の肉屋・鞄屋と同じで、当時は低く見られていたものが今はそうじゃないっていうのと同じかなと。性欲自体は三大欲求の一つなのに、性欲だけが下にみられるのはおかしいなって。そして、その過渡期が今なのかなと。

―――たしかに昔と比べると、アダルト業界に入る障壁が低くなっているのかなと感じます。セックスが好きだから業界に入ったみたいな子もいると聞きました。

そうですね。たとえば、当時の風俗は今よりもっと100%お金のためというか、生活に困って働いていたと思うんですよね。とはいえ、今でもセックスが好き で業界に入っているという人は少数ですよ。今は、もちろんお金のためですがパート感覚で働く主婦の方も増えていますね。興味本位で旦那に内緒でやってみよ うかなみたいな。あとは、親が学費払えないから奨学金のために子供が業界に入るというのも増えてます。

実際に働いている女の子もキャバ嬢くらいだと、キャバ嬢をしてることを隠さないですし、風俗嬢でも働いていることを普通に話す子もいしますしね。感覚は変わってきてますね。

―――それこそ著書の「ネット風俗嬢」のようなチャットタイプだと、簡単に稼げるのでより手軽にはじめる方が多そうですよね。

そうですね。ネット配信する道具さえあれば仕事ができてしまうので、キャバクラと違ってお酒をのんだり、ドレスを用意しなくてもいいというのは大きいですよね。

書籍でもふれていますが、大金を継続的に稼げる人は決して多くないですし、たしかに業界で働く女性の稼ぎの全体的な相場は下がっているかもしれません。た だ、セックスエリートというか、有能は人はやはり稼げるんですよ。昔とくらべると、今はより有能な人しか稼げなくなっているのかもしれないですね。

後編「ネット風俗嬢から学べることって!?」

あなたはバーチャルセックスに勝てますか?「ネット風俗嬢」稼ぐ女性の共通点(後編) – ランドリーガール