「指で刺激してると両手で抱き合えない」レズビアンが本当に欲しいグッズを作ったらこうなった

一緒に気持ちよくなりたい。日本初、レズビアンのためのラブグッズが登場です。
「fantastick」開発者 山口さん
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「片手じゃなく両手でくっついて一緒に気持ちよくなりたい。」

そう語るのは、レズビアン向けのハーネスディルド*『fantastick』を開発したラブグッズメーカー リグレジャパンの山口敦子さん。

彼女が開発した『fantastick』は、いわゆるハーネスディルド(ペニスバンド)*の進化版。日本のハーネスディルドは、装着者には快感がないものしかありませんでしたが、『fantastick』は腰の動きに応じて装着側にも刺激がある日本初のハーネスディルド。女性同士で一緒に気持ちよくなることができ、セックスをより楽しめます。

*ハーネスディルド(ペニスバンド):
女性同士等でセックスを楽しむためのラブグッズ。女性器に挿入する男性器を模したディルドとそれを固定するハーネスがセットになっている。

海外ではレズビアン向けのグッズも見かけますが、日本ではレズビアン目線で作られているグッズはまだ少ないと言います。『fantastick』を作った背景には、どのような想いがあったのでしょうか?今回は開発者の 山口さんにお話を伺いました。

彼女と一緒に快感を得たい。挿入側も気持ちよくなれるハーネスディルドを

昔からラブグッズに関心があった山口さん。大学時代からラブグッズメーカーでアルバイトをし、卒業後はそのまま入社。今はラブグッズの商品企画をしています。

彼女が初めてハーネスディルドを購入したのは大学生の時。レズビアンカップルの大半は指で局部を刺激するセックスをしているそうですが、指だけじゃなく、もっとセックスをパートナーと楽しみたいという想いからハーネスディルドを試したそう。でも購入した商品は、デザイン性は高いが使い心地がよくなかった。

jpeg%e3%82%a4%e3%83%a1%e3%83%bc%e3%82%b8-6fa4e364cb7e-1「レズビアンは攻める側をタチ、受ける側をネコ、攻め受け両方楽しむ人をリバと呼んでいますが、私は攻めを好む”タチ”なので、ハーネスディルドを装着する側です。ただ、この手のグッズはデザイン性を重視しハーネス部分にスタッズがついているものも多いんです。そうするとスタッズが相手のクリトリスに当たって痛い思いをさせてしまうこともありました。」

 

 

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fantastick』各色8,000円 パンツ型で装着性を高めている。生地は肌との一体感を出すために薄く伸縮性のあるものに。

聞きなれない人も多いハーネスディルドですが、そもそもレズビアンの方は頻繁に使うものなのでしょうか?

「私の個人的な統計だと、レズビアンの半数はラブグッズに関心があって、攻め側の30%程度がハーネスディルドを試したことがあると思います。どうしても指だけで刺激していると両手で抱きしめ合えないので、ハーネスディルドを使ってみたいという声もあります。」

彼女がハーネスディルドを企画するにあたり、一番こだわったのが装着者、タチ側への刺激です。

「既存のハーネスディルドは挿入相手にはディルドの刺激がありますが着用している自分には何も刺激がない。自分も彼女と一緒に楽しみたいとずっと感じていました。だから装着者にも刺激が伝わるハーネスディルドを作りました。」

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ディルドに装着者(タチ側)のクリトリスも刺激できる突起があります。

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パートナーにディルドを挿入後、前後に動かすことで装着者(タチ側)にも刺激が伝わります。装着者のクリトリス表面を擦り快感を得る構造なので、女性器への挿入には抵抗がある人でも使用しやすいそう。

ハーネスディルド以外にも女性同士で使えるグッズとして、両者が同時に挿入できる双頭ディルドや、タチ側の女性器に挿入しバイブを固定するシェアバイブ、またバイブ機能が搭載されているペニスバンドもあります。これらであれば二人に刺激が届くのではないでしょうか?

fullsizerender-2「確かにシェアバイブであれば両者に刺激はあります。ですが、バイブが落ちないように支えるためか、タチ側のバイブが太い。海外製が主流なので自分には大きいと感じました。

それにビアンの中でも自分は攻め側だという意識が強ければ強いほど、自分の体にバイブを挿入することに抵抗があります。ビアンになったタイミングにもよりますが、男性と全く付き合ったことがない人もいれば、自分自身に挿入経験がない子もいますからね。

あと、バイブが搭載されているペニスバンドだとバイブが自動的に彼女を刺激してくれるので、私動かなくていいよね?私いらなくない?とセックスにおける自分の存在意義がなくなるんです(笑)」

受け側のネコや両方を楽しむリバは、それぞれにセックスで刺激を感じることができると思いますが、タチの人はどうやって刺激を得るのでしょうか。

「自分に快感がなくても脳内で達することができる人もいますが稀です。大抵は物理的な刺激が必要なので、角度を工夫して自分の性器が当たるようにしたり、彼女の太ももを使用したり、彼女に手を添えてもらったり。彼女とのセックスの後にこっそりマスターベーションしたという子もいました。

ただタチに共通しているのは相手が気持ちよくなってくれることが一番気持ちいいということです。どこか彼女に奉仕してこそみたいな部分もあるので、自分をこうして欲しいと言う人はあまりいません。でも『fantastick』のようなグッズがあれば言葉にしなくても、自分が攻める姿勢のままで自分も快感を得れます。」

構想から制作まで10年。

『fantastick』を実際に見てみると、装着者側へ刺激がある工夫の他にも、他のハーネスディルド商品との違いとして感じるのが柔らかい色味とデザイン、そしてディルドの柔らかさです。

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日本人でも挿入しやすい太さと、リアルなディルドにせずシンプルな形状に。

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あえて淡いパステルカラーにすることで手に取ってもらいやすく。

「ビアンの子は男性器の形状が苦手な子も多いので、ディルド部分をリアルなデザインにしていません。日本製のセックストイはまだまだ男性目線の商品が多いです。リアルな男性器を模したりグロテスクなハーネスディルドは男性が楽しむためのもの。『fantastick』はその要素を取り除きシンプルなデザインにしています。

海外では女性目線で作られた同様の商品もありますが、日本人とは体型が異なるためディルドがかなり大きい。『fantastick』は日本人に合わせて細身です。ただ、ある程度の挿入感を出すため半月形にしています。

色も既存のディルドはピンクかブラックが多いですが、あえてパステルカラーにしました。ベージュに関してはビアンの子から、セックス時に彼女との間にグッズがあると思いたくないので、彼女の体と一体化できる色が欲しいと意見をもらいました。」

ディルドの柔らかさは彼女と近づくためのこだわり

「既存のハーネスディルドは硬い素材のディルドが90度で固定されているものが多いんです。そうすると、ディルドをきちんと挿入するための角度が一定となるため彼女と自分の体の間に距離ができてしまう。でもディルドが柔らかければ距離を縮めることができ、相手と抱き合いながら挿入できます。」

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程よく柔らかいシリコン素材でできているため動きに合わせて曲がるようになっている。

『fantastick』も最初からこの形にはならなかったそう。当初はレズビアン向けに射精できるグッズを作ろうとしていたとか。

「男女のセックス同様に相手の体に液体を入れたいという欲求がビアンの子にあるかなと思って。それでグッズを使用している間に液体が溜まって、最終的にそれを相手の中に入れることができるグッズを作ろうとしたんですが、衛生上の問題や周りのビアンの子から『そんなのいらないよ』と不評だったのでやめました。欲しかったのは私だけだったみたいです(笑)」

ゴムと同じ。装着時の興ざめを減らしたい。

この形で作ろうと決めてからも石膏粘土で試作を作りながら試行錯誤。特に悩んだのが、装着側に刺激を与えるためにいかにディルドをスライドさせるかということ。当初はディルドのデザインで何とかしようと考えていたが、生地の伸縮性で希望のスライドを再現できたといいます。

 

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『fantastick』で使用している伸縮性が高い生地は装着のしやすさにもつながっています。

「短時間で装着できるかは大事です。男性で考えると短時間でコンドームをつけれるかどうか。ゴムもですが、キスする前に装着することはないと思うので、盛り上がった後に装着で手間取りたくないですよね。でも既存のハーネスは革製でベルトを締めるのに時間がかかったり、途中で緩んできたり。そういったグッズによるセックスの興ざめをなくしたい。なので、ベルトではなくあえてパンツ型にしました。」

わかっていたけど、レズビアンも十人十色。

ただ実際に商品を発売して山口さんが感じたのは、レズビアンといえど本当に十人十色だということ。「原色やポップな色が欲しい」「ボクサーパンツ型が欲しい」「細すぎる」「太すぎる」好みは異なるとはわかっていたものの、実際に寄せられる意見の違いに驚かされたといいます。

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「ディルドが長いと言われることもあります。ビアンは指でする子も多いので、7、8センチの長さにしか慣れていない子もいます。ただ短くすると挿入した後に押して引いてとディルドをスライドさせた時に抜けてしまう。

ディルドの太さに関しても、指の挿入によるセックスが指3本に慣れているのか指2本に慣れているかで違います。今回の商品は指3本を目安にデザインしているので、太すぎるという方もいます。当たり前ですが、本当に好みは様々です。第二弾はそこも考慮してカスタマイズできるようにしたいです。」

(後編 レズビアンって別に耽美じゃないよ?セックスレスも同じだよ