コンプレックスを撮影する。女性がヌード撮影に殺到する理由とは?

「自分の体が少し好きになれた」カメラマン花盛友里インタビュー
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tamuradsc_7325『脱いでみた。』より

「初めまして。今日は寒いなあ。ほんなら脱いでみよか〜?上からにしとこか??」

一般女性が彼女のカメラを前にして服を脱いでいく。インスタグラムで募集をかけて集まった初対面の女性を30分で撮影する。

「時間がないから服はすぐに脱いでもらいます。でも、人によって上から脱いだ方が緊張しないか、下からの方が緊張しないかとかあるんです」

そう語るのはカメラマン花盛友里さん。彼女の柔らかい大阪弁を聞いていると確かに服を脱いでもいいかもしれないとさえ思えてくる。

なぜ女の子は彼女にヌード写真を撮ってもらいたくなるのか?花盛さんに話を聞いた。

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彼女が初めてカメラを手にしたのは、中学時代に買ってもらったキティちゃんのプラスチック製カメラ。当時から人を撮影するのが好きだった彼女は気づけば女の子ばかり撮影していたという。その後、留学、専門学校、スタジオでのアシスタントを経て、現在はプロカメラマンとしてファッション誌などで幅広く活躍している。

仕事をはじめて自分の作品が枠にはまっていくのが怖くなったという彼女は、商業写真とは別にライフワークとして女の子を撮影し続けている。どうして女の子ばかり撮影するの?と尋ねると「ほんま女の子は可愛い。なんでこんなに可愛いんやろうって思うくらい可愛いから撮影してる(笑)。女子って男の子のことも好きやけど、同じくらい可愛い女の子を見るのが好き。」と屈託のない笑顔で答えてくれた。

haru_46820『脱いでみた。』より

5月には総勢50 を撮影したヌード写真集『脱いでみた。』を発売した。2014年に発売された『寝起き女子』ではモデルや一般人の無防備な寝起きの姿を撮影していた。当時からデフォルメされない自然体の女性を撮影していた彼女が今回はヌード写真に挑戦した。

fh000028『寝起き女子』より

fh000010a『寝起き女子』より

「カメラマンなら誰しもヌードを撮りたいっていう気持ちがあるはず。私も昔からヌード撮影はしていたんですが、ヌードって挑戦的なテーマなのでオフィシャルな仕事ではなかなかできない。枠にはまらないための活動としてしたほうがいいなと思っていました。」

ヌード撮影のきっかけは「女子の下着姿って可愛くない?おっぱいも、お尻も、くびれも全部可愛いやん!」というノリだったが、女の子たちを撮影しながらヌードの見え方が変わってきたという。

ono_img777『脱いでみた。』より

「そのままですごく綺麗なのに、どんな可愛い子でもコンプレックスや出したくない部分を抱えている。当時はモデルを起用した撮影もしていたけど、『女の子は誰でも綺麗なところがあるから大丈夫だよ』と伝えるには着飾ったヌードじゃ意味がない。モデルさんが綺麗なのはあたり前。表面的な綺麗じゃなくて、私と同じような普通の女の子たちの綺麗をたくさん撮りたいなと思ったんです。」

そう感じた彼女は一般女性のモデルをインスタグラム上で募集し、選考はせず先着順に撮影をした。総勢100名以上からの応募があり定員はすぐに終了。1日で撮影できる人数が限られているためモデル募集の投稿には「やりたかったあ」「いつか撮影してもらいたい」といったコメントがついている。

互いに危険がないように素性が分かるものを事前に添付してもらったが、容姿などは当日までわからない状態での撮影だったという。

ちゃんと写真が撮れるのか?どんな子が来るのか?という不安はなかったのか。「顔も知らない子を撮影するのは初めて。でもみんな絶対可愛いところがあるから大丈夫」

dsc_0322-2『脱いでみた。』より

1日最大6人の撮影。到着次第3分で服を脱いでもらう。もちろん相手は素人でヌード撮影は初めて。ガチガチになっている子もいたが「みんな一枚脱いだら意外と気が楽になる」という。

「まずはヘソを見せてみようか?」「脱いでるふりしてみて」「よしじゃあ脱いでみよか」どこから脱いだら緊張しないかを考えて彼女達に合わせながら声をかけ少しずつ脱がせていく。

撮影にきたのは20代前半から30代の女性が多かったという。応募者の中には「自分に自信がないけど、花盛さんの写真を見て自分も綺麗になれるんじゃないかと思った。新しい自分を見つけたい。」というメッセージをくれた子もいたそうだ。

彼女達に喜んでもらいたいから、絶対に1箇所はその子の素敵なところを見つけて撮影した。

「女の子の丸み、柔らかさって可愛い。でも、柔らかさが全くないような子もいて、そういう子は自分が痩せすぎていることにコンプレックスを持っている。だけど、痩せている肩甲骨も素敵やし可愛いんです。

絶対に何かしらいいと思う部分があるから、それを見つけたら撮影してすぐに見せてあげる。『ほら、ここめっちゃ可愛いやん』っていうと、どんどん表情がよくなってくる。もっと見て欲しい、撮って欲しいってなって緊張もなくなる。」

dsc_3977『脱いでみた。』より

撮影を終えた女性からは「自分の体が前より少し好きになれた」との声もあったそう。

「単に誰かにお腹プニってしてて可愛いって言われても自分で納得しない限りわからないし変わらない。だから、それを実際に切り取って撮影して見せてあげる。コンプレックスと思っている部分も見方次第で綺麗に見える。」

全然知らない相手だからこそ悩みも話しやすい。撮影中は仲のいい友人同士がカフェでたわいのない話をするように ずっとしゃべっているそうだ。実際、相手のパーソナルな部分を聞いてから撮影すると全く違う写真が撮れるという。相手を知る意味も込めて撮影現場には好きな下着を持参してもらった。

「下着ってその人らしさがでる。Tバックでスケスケな下着とかだと、めっちゃエロいやん!ラブラブな彼氏おるんやろ、とか聞きます(笑)でも個人的にはベージュのてろ〜んとした下着が好きです。女性のそのままのフォルムがいいのでワイヤーで盛っているのが苦手。私自身も撮影をし始めてから下着の可愛さに目覚めてブラ付きタンクトップ を全部捨てました。」

midori_47131『脱いでみた。』より

女性のヌードを撮影することで下着の好みだけでなく、花盛さん自身の心境も変わったという。

「私もみんなと同じで自分の嫌いなところがある。でもこの撮影を始めて自分の体のプニっとしたとこも許せるようになってきました。ぽっちゃりしてても可愛いよって言うのは簡単だけど、どこか納得していなかった。でも実際にその子達を撮りながら自分自身もそうなのかもと思い始めたんです。

人って全く同じ体型でもなぜか人のコンプレックスは可愛いと思える。自分が鏡で見て嫌だったものを写真で可愛いと思えれば、次に鏡を見る時は『あれ、なんか可愛いかも』って思えたりするんです。

一人の時に鏡の前で自分を見たくないって思う人がいる。でも、鏡の前で『まあ、これでもいっか。』って、たまにはそう思える日があってもいいなって。」

abeatardsc_7201『脱いでみた。』より

写真集を見た女性からは「コンプレックスだったところが好きになった」「人のコンプレックスってなんか可愛いな」という反響があるそうだ。

今回の写真は全て加工をしていない。そのままで充分可愛いからだ。でもやはり撮影を通じて自信がない子が多いと感じたそう。

「日本人特有なのかな。海外ならビキニ着れるけど日本だと無理、という感覚がありますよね。海外だと太っててもビキニを着る。でも日本だと綺麗じゃないと着ちゃいけないような気がしてしまう。下着ブランドのビジュアルにしても海外は太った子も使うけど日本だと使わない。そういう価値観自体が変わって行けばいいですよね」

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これからも女性を撮影し続けるという花盛さん。最後にメッセージをもらった。

「表紙の写真もですが痩せてる太ってる関係なく女性なら誰でも持っているものを載せています。この写真のこの部分ちょっと自分に似てると感じたら自分の体も好きになれるかもしれない。自分がちょっと幸せになれる1枚を見つけてくれると嬉しいです。みんな本当に綺麗。だから、もっと自分に自信を持って欲しいな。」

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『脱いでみた。』
価格:1,400円(税抜)
出版社:ワニブックス
著者:花盛友里
http://amzn.to/2sWhTGV