セックス下手は学ぶべき!最高のエロスを引き出す写真家の技:「週刊ニューエロス」常盤響インタビュー

人気カメラマン常磐響さんの独特な撮影スタイルに迫ります。この方法・・・パートナーとのセックスについて学べるかもしれません。
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電気グルーヴなど人気アーティストのジャケットデザインをしていたかと思えば、カメラマンとして初写真集でいきなり6万部を売り上げ、今度は人気カメラマンとなった常盤響さん。前回はそんな常盤さんの不思議な経歴や彼が尊敬してやまない篠山紀信さんとの出会いをききましたが、今回は、常盤さんが創り出す独特なエロス写真撮影の裏側に迫ります。

「僕は写真が下手。ひきだせるほどのテクニックもないし、ウソでうまくまわせるほど器用じゃない。」 ととても控えめな常盤さんですが、撮影においては「不細工な顔も見せれる共犯関係をつくる」と独自の撮影スタイルがあるといいます。

この方法、撮影に限らずパートナーとのセックスにおいても学べることがあるのかも・・!?それでは常磐さんを覗いてみましょう。

「彼だけが声をかけてくれた」巨匠・篠山紀信に惚れる理由 カメラマン常盤響インタビュー

大股開いてカラカラより、コートにマフラー巻いてびしょ濡れが断然エロい

――常盤さんが毎週発行している「週刊ニューエロス」についてお話うかがいたいのですが。まず「ニューエロス」ってタイトルがかなり気になってしまったんですが。エロスってなんですかね?

あのサイトは特に深い意味もなく、たまたま始まったんですよね(笑)タイトルは、なんかダサいエロ本みたいな感じにしたいなあと思ってつけたんですよ。

「着エロ」(※1)ってわかりますか?当時は、キャミソールとかを着用しててもエロく見える写真ってことだったんですが、今の「着エロ」は、もはや裸だらけなんですよね。自分はアダルト雑誌ではほとんど撮影をしたことはないですが、たとえばアダルトの撮影でも、女子はきっと撮影おわったらメシでも食べに行こうかなって意識で撮影されたりするわけじゃないですか。それって裸だけどエロスじゃないなあって。

つまり、エロスっていうのは魅力的かどうか、濡れ感があるかなんですよね。大股開きしてカラカラなら、コートにマフラー巻いてびしょ濡れの人のほうが断然エロいですよね。

※着エロ・・・着衣のあるエロチシズム、およびその造語。またグラビアアイドルのイメージビデオやグラビア写真における表現手法の一つ。

常磐さんが毎週発行している「ニューエロス」第160号より

―――その“濡れ感”を表現するのってすごく難しくないですか?

そうですね。僕の最初のヌードの連載は、小学館の「sabra」というグラビア雑誌で、創刊するとき編集長がわざわざやってきて連載をしてほしいと。大御所の方たちが表紙やグラビアを担当していて、新人の僕は写真集で撮っていたような素人みたいな娘をモデルにして撮影するという連載だったんです。

当時は毎号コンビニで売られる雑誌で脱いでくれる素人がたくさんいるはずもなく、本当の素人ではなく企画系のAV女優の子をモデルにしてたんですが、逆にこれが難しくて。というのも、彼女たちは格段可愛いわけではないですし、なにより普段のAV撮影で、道端だろうがなんだろうが監督から色んなことを依頼されれば、それをしてしまう子なわけですよ。で、そのままの彼女たちを撮影したら案の定微妙だったんです。

ましてや、他のページは有名で美しい女優さん。もちろんオーラもあるわけですよね。で、そんな中で、彼女たちをモデルにするにはどうしたらいいかを考えた結果、まずはこのAV感をとらなきゃいけないと思ったんです。

それで、彼女たちの撮影方法を変えたんですよね。1日の撮影のほとんどの時間は一緒に朝昼ゴハンを食べたり、お茶したりしながら撮影をして話を色々聞いて。そうすると、いざ撮影のためにホテルにいって、服を脱ぐ頃には恥ずかしくなっているんです。

彼女たちを格段美人ではない“AV女優”じゃなくて、魅力的な“女子”にすればいいだけなんです。まあ、自分自身がそこまでグラビアや女優に興味がないというのもあるんですけどね。

―――というと?

自分の場合、白い水着を着たモデルが綺麗に寝そべってたとしても、俺と何の関係があるの?って思っちゃうんですよね。自分とセックスをする可能性が低ければ低いほど異性としての興味がなくなってしまうんですよ。

それは撮影も同じで、自分とモデルの関係性を作らないと写真が撮れなかったんですよね。カメラをはじめて間もない、技術もない自分が写真をとるには、撮影する相手とセックスをしたくらいの感じにしないと撮影できなかったんですよね。

ブサイクな顔がないとミラクルな1枚は生まれない。セックスと同じ。

―――そうすることで彼女たちの表情が変わったと。

そうですね。カメラの前で表情をつくるっていうのは、やっぱり本当の女優さんとかじゃないとできないんですよ。だから、彼女たちには好きな男に見せてる素の顔を出してもらいたかったんですよね。

常盤響さん

―――それってつまり撮影されてる女性は1日で常盤さんに惚れるってことですよね?常盤さんのコミュニケーション力すごくないですか!?

いや、本当はすごいコミュニケーション不得意なんですよ。ナンパも合コンもしたことないし。男子校だし。知らない人と話さなきゃいけないキャバクラとかも苦手です。

でも撮影だと、恋愛に限らず何かしら彼女たちと関係性をつくらないと意味がなかったですからね。他の人とは全く違う関係を彼女たちとつくって、それが撮れればいいかなって。

だから、普通のパブリックな現場での撮影よりは、会話をしながら共犯関係をつくっていくような撮影が好きですね。

―――共犯関係ですか。

そう。共犯関係があれば、それはエロティシズムだと思うんですよ。極端に言うと、僕はなんでもセックスだとおもってるんですよ。たとえば、ラーメン写真をとるにしても、ラーメンとのセックスだと思ってるし。本当はお腹いっぱいの時でも撮れるのがプロだと思うんだけど、僕はお腹いっぱいの時だと全然よく取れないと思うんです。食べたい!消化したい!!みたいな気持ちで撮らないと。

動物でも男性の写真でも同じで、男性なら何かしらその人へのリスペクトがないと良く撮れないですね。なんか撮影のために写真を撮っているというよりは、被写体との関係性の結果が写真になってるというのが一番いいなと思ってるんですよね。

―――そう考えるとモデルを選ぶのも難しそうですよね・・・「週刊ニューエロス」はサイトでモデル募集をしていますが、どのような方がお越しになるんですか?

応募数自体は増えてるんですよ。今は自撮りだったり、撮影されることになれている子が多いですよね。でも、普段からコスプレをしている子の撮影って逆にむずかしいんですよね。彼女の中で「自分」ができあがっているから、それを壊すのが難しいんですよ。

たぶん、プロに撮影されて嬉しい!というのはあるものの、出来上がってる自分を壊すのはまだ怖いという気持ちもあるのかな。

でも、言い方がわるいかもしれないけど、いい顔の手前にブサイクな顔を経てからじゃないとダメなんですよね。いい顔だけ作っていては、それ以上でも以下でもないのでミラクルな写真とかはでてこないんですよね。

セックスと同じですよ。セックスしてる時の顔って美人じゃないけど、終わった後のいい顔があるのは、その顔があってのことじゃないですか。

2chとかで「絶対やっただろ」と書かれたら、逆にうまくいってる。

―――不細工な顔を見せれる関係性が大事だということですね。

まあ、もちろん段階があるんですけどね。馴れ合いになっても仕方ないですしね。関係性をつくるのもですが、まずカメラマンとしては、被写体に関しては、エンタメとして読者のかわりに彼女を見ているという気持ちがあります。だから、ファンタジーすぎてリアリティがなくなるのは好きじゃないんですよね。リアリティというか、「なんかあったんじゃないの?」と思わせることが大事かなって。

―――それってどういうことですか?

コスプレでも、グラビアでもそうですね。読者にとっては完成された被写体を見たい人もいるけど、だったらCGでいいんじゃないかなって。篠山さんもいってましたけど、最近のグラビアをみても「本当にその子(モデル)がうれしいと思っているのかがわからない。これでは勃ちません、ぬけません。」って(笑)「あなた(モデル)、今どういう気持ちなの?」ということを知りたいんですよね。

だから、2chとかで「絶対やっただろ」とか書かれることもあるんですが、そういう時は逆にそういう風にみてもらえたと思えるのでうまくいったんだなあと思いますね。

―――究極の形としてセックスしたかのような表情ということですね。

なんかセックス、セックスばかり言っててスミマセンって感じですが、撮影自体がセックスですよね。というか、下手なセックスよりよっぽど濃厚なんですよ。手もつながない状態で目をみつめあって6時間もいるのは恋人とだってしないですよね?

恋人とだってしないことをするわけですから、そりゃ好きにならないと撮影できないですよね。撮影ってそういう行為なんですよ。だから、どんな撮影でも恋愛したときのゲッソリ感と同じで撮影終わりはげっそりしてますよ。

1回4パターンくらいとって2パターンつかうことが多いんですが、撮影時間は8時間くらいで、2,3000枚撮影する感じです。それくらいしないととれないんですよ。ずっと撮影をしているわけではないですけど。ひきだせるほどのテクニックもないし、ウソでうまくまわせるほど器用でもないんで。

何もしないけど激しいSM関係の二人もいる。「エロス」って人が違えば全部違う。

―――今後も「週刊ニューエロス」は撮りつづけるんですか?

いつまで撮ればいいですかね・・・?(笑)どれだけ欲が保ち続けられるかですよね。今はおかげさまで色んな人が応募してくれてますが、やっぱり嫌いな人はとりたくない、好きな人しかとりたくないですしね。撮影してるあいだは相手を好きでいたいと思っているので、それができなくなったら終わりですよね。まあ、それでもある程度は取れるだろうけど、120%とか200%の表情をみたいですしね。

ニューエロス 第158号 2015.12.26 表紙モデル 奈良岬

―――それってつまり、恋愛意欲がなくなったらということですね。撮影でそこまで恋愛していると普段の恋愛がなかなかできなそうですね。

たしかに恋愛できないですね。もちろんカメラマンになってから女性とつきあっていたこともありましたが、色々と気を使ってましたね。たとえば写真でいうと「エロい写真」よりも「いい写真」は嫌がられてましたね。

―――「いい写真」がですか??

そうです。いい写真って、そこでどうこうしてるとかじゃなくても、モデルの子の表情から心が通じ合ってることがわかるんですよね。だから、きっと彼女にそう思われるんだろうなあと思いながら撮影するとなると・・ダメだなあと思ってしまうんですよね。。

―――カメラマンの方って大変なんですね・・・。自撮りをする女性たちも増えていますが、女の子をかわいくとるコツってありますか?

女の子をかわいくみえるようになることです。さっきの話とおなじで、相手をかわいく思えるようになれば、かわいく撮れるんですよ。どんな美人でも、自分がそう思えないとそうは撮れないですよね。だから薄皮一枚の判断はだめですよね。しゃべりかたとか所作も好きになってこそ撮影できる。だから自撮りは「自己愛」ですよね。

―――常盤さんの写真ってエロ過ぎない感じがしているのですが、あえてそのようにしてるんですか?

う~ん。みんなが思う「エロス」って演出されたものなんですよね。AVとかも演出されたものですよね。でも、エロいことってカップルにとってあたりまえのことで。だから、通常のエロスって実はいわゆる「エロス」じゃないですからね。

―――そう考えると、「ニューエロス」の「ニュー」が不思議な感じに思えてきますね。

「ニュー」って名前は「ニュー」がついていること自体が古臭いんですよ。地方の温泉街のスナックとかにもあるじゃないですか、「ニュー○○」って。「ニューエロス」のページにはエロスを追求とか書いてるけど、別に追及してないですしね。

だって、「エロス」には新しいも古いもなくて、性行為なんて人間になる前からずっと繰り広げられている話だし、この先もそうですよね。でも人間になっていくうえで、生殖行為だけじゃなくて、そこにJOYが入ってくるから、エロティシズムがレジャーにもなってくわけで。もっとも古いレジャーの一つですよね。

性行為一つにしても、性行為=セックスと思う人もいれば、人によって違うわけで、裸でいても行為はせずにくっついているだけの人もいれば、何もしないけど激しいSM関係の二人がいたり、撮影自体が性行為になりえたり。つまり、「エロス」って人が違えば全部違うんですよね

次回につづく
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